平手相懸定跡集

 大橋宗英名人著の相掛りだけの定跡書である。(実際は門人の藤田桂立著らしい)家元に伝わっていた定跡を詳細にまとめたもので、家元の棋士そして、明治・大正時代の棋士は皆この本で勉強したといわれる名著です。
 復刻本は大正十三年発行で、その時点では三五歩からの急戦は無理と結論が出ていて、現在もそういう見解です。ただ最近の八五飛戦法に似た変化もあり、工夫次第で生き返る定跡かもしれませんし、個々の手筋は参考になる筈です。大体それは相当強いレベルの話でもあるので、普通のレベルのアマチェアなら十分実戦に使えると思います。
 横歩取りに関しては、現在無い形も出ていて面白いです。また素朴な変化もあり、横歩の基本から学べると思います。
 前後しましたが、原書は文化十三年(1816年)に発行されています。それまで秘伝であった定跡を一般公開した大橋宗英は、本当に将棋の人だったんだなあと思ってしまいます。当時としては画期的であったと思います。では、大橋宗英入魂の書「平手相懸定跡集」をお楽しみ下さい。

復刻本の章 復刻本の見出し 管理人の註
第一章 三五歩の攻法其一 相掛り三五歩の一
第二章 始めり三十手まで 相掛り三五歩の二
第三章 三十手相懸り駒組み 相掛り二二角成
第四章 相懸り二十八手目 相掛り八八角成
第五章 端歩の攻法 相掛り一六歩の一
第六章 三十手駒組の次一六歩 相掛り一六歩の二
第七章 先手五九金 相掛り一六歩の三
第八章 相懸横歩取りの法 横歩三八歩の一
第九章 相懸横歩変化 横歩三八歩の二
第十章 相懸横歩変化 横歩三八歩の三
第十一章 相懸横歩変化 横歩八八角〜三三角
第十二章 相懸横歩変化 横歩八二飛
第十三章 相懸横歩変化 横歩四一玉
第十四章 相懸横歩変化 横歩二二角〜七七角
第十五章 相懸角替りの傳 捻り飛車
第十六章 横歩取追加 横歩三三角の一
第十七章 横歩取変化 横歩三三角の二
第十八章 横歩取変化 相横歩
第十九章 横歩取変化 横歩三三角の三
第二十章 相懸り七七歩附七六桂 相掛り三五歩の三
第二十一章 相懸り七七歩附七六桂 相掛り三五歩の四
第二十二章 相懸り七七歩附七六桂 相掛り三五歩の五
第二十三章 相懸り七七歩附七六桂 相掛り三五歩の六

※復刻本を基に作業しました。
 原書は十五章の処迄で終わっています。しかも章立てしてなくて、手順の羅列だけなのでとっても読みにくいです。
 十六章以降は復刻本を出す時加えられたものだと思う。(大正時代の定跡手順か?)
 また、復刻本自体も手順が間違っていて、原書と対照させながらのHP化作業でしたので、誤りがある可能性も在りますので、可笑しい点がありましたらご連絡下さい。(しかも原書ですら、手順が変な処が結構あります。)

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