将棋自在

 定跡集、上下二巻二冊。古今名家の定跡を寛政三年(1791)名古屋で出版した上巻は「象戯懐宗」と同一で図を省いたにすぎない。又「将棋自在」の名でも天保九年(1838)出版されている。
 内容は古伝に基づく一般定跡の他、石田流、是安流、通音流等を含み、駒落ち、平手を網羅している。末尾に「此駒組ハ宗桂ノ本法ナリ」という字句も見え、大橋家所伝の定跡を主としたようである。また「将棋評判ニ見エタリ」とか、「本因坊三四歩ヲ銀ニテ取リ宗桂負ニ成故ニ此駒組思附絶シトナシ」、「将棋訓ニモ出タルガゴトク」などより、広く古書を引用し、若干の解説を加えた点、編者はかなりの研究家と思われる。(東西文献、将棋名著古典文庫から抜粋)
 要するに古来から伝わってきた定跡を一つにまとめたもので、定跡にコメントがしてあるのは研究家の書き込みのあるコレクションを本にしたものかもしれません。
 兎に角、これを読めば石田流や、是安流や、今や美濃囲いと言わている通音流の原点が解るのは、将棋史上貴重ともいえましょう。又二十五番飛車落Bは上手三三金に対する指し方が書かれているのは結構珍しいと思います。。

上巻 下巻
一番 平手四間飛車 二十九番 相掛り
二番 平手相掛り 三十番 四間飛車
三番 平手石田流 三十一番 四間飛車
四番 平手高櫓 三十二番 右四間飛車
五番 平手雁木 三十三番 右四間飛車
六番 平手美濃囲い 三十四番 是安流
七番 平手石田流 三十五番 中綟
八番 平手櫓崩し 三十六番 石田流
九番 平手左四間 三十七番 通音流
十番 平手向四間 三十八番 居飛車
十一番 平手向四間裏
十二番 平手向飛車
十三番 平手向飛車
十四番 平手四間飛車
十五番 右香落@
十六番 右香落A
十七番 右香落B
十八番 左香落@
十九番 左香落A
二十番 角落@
二十一番 角落A
二十二番 角落B
二十三番 飛車落@
二十四番 飛車落A
二十五番 飛車落B
二十六番 飛車落C
二十七番 飛角落@
二十八番 飛角落A

※下巻は全て平手である。

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