本書は十代目大橋宗桂の撰で、文化十一年九月刊行。「絶妙」「粹金」「奇戦」に洩れたものを補修した手合集である。
「明玉」は明和元年末、中島大膳対大橋印壽(九代宗桂前名)〜文化十一年三月迄(五十二年間)の将棋を上下二巻に各五十局づつ掲載している。
管理人が気がついた他手合集とのダブリと疑問点を下記します。
絶妙57 | 明玉16 | 対局年月日:絶妙「寛政三年二月五日」明玉「寛政八年十一月」手順:42手目絶妙「七九角」明玉「五三角」明玉の手順が正しいと思われる |
粋金24 | 明玉17 | 対局日:粋金「寛政二年六月二十四日」明玉「寛政九年七月」手順67手目粋金「四九銀成」明玉「四九銀不成」不成が正しいか? |
絶妙72 | 明玉58 |
明玉52・53の対局年が享和元年となっていますが、(伊藤宗印対大橋印壽)これは明玉2を見ても解るように、明和元年か二年のものでなければ可笑しいのです。(七段五代宗印は寛政五年に没し、且つ当時同名の人もいません。) 少々怪しい点もありますが、「将棋明玉」をお楽しみください。
番号 | 対局者 | 手合 | 番号 | 対局者 | 手合 | |
1 | 中島大膳・大橋印壽 | 右香落 | 51 | 杉浦傳八郎・楢崎新次郎 | 平手 | |
2 | 伊藤宗印・大橋印壽 | 左香落 | 52 | 伊藤宗印・大橋印壽 | 左香落 | |
3 | 桑原君仲・四ッ谷藤右衛門 | 角落 | 53 | 伊藤宗印・大橋印壽 | 左香落 | |
4 | 桑原君仲・生駒與兵衛 | 左香落 | 54 | 川島金蔵・高島彌三郎 | 平手 | |
5 | 大橋印壽・熊谷忠次 | 飛車落 | 55 | 福島順喜・高島彌三郎 | 左香落 | |
6 | 毛塚源助・高島直五郎 | 左香落 | 56 | 丸谷傳次郎・高島彌三郎 | 右香落 | |
7 | 毛塚源助・高島直五郎 | 右香落 | 57 | 福島順喜・楢崎新次郎 | 左香落 | |
8 | 鵜飼彌五郎・高島直五郎 | 左香落 | 58 | 大橋宗英・伊藤宗看 | 右香落 | |
9 | 大橋宗英・伊藤宗看 | 右香落 | 59 | 伊藤宗看・藤田清三郎 | 右香落 | |
10 | 鵜飼彌五郎・大橋宗桂 | 右香落 | 60 | 伊藤宗看・藤田清三郎 | 左香落 | |
11 | 大橋宗桂・金親盤次 | 平手 | 61 | 丸谷傳次郎・藤田清三郎 | 左香落 | |
12 | 毛塚源助・大橋宗桂 | 左香落 | 62 | 水野桂傳・高島彌三郎 | 平手 | |
13 | 大橋宗桂・高島彌三郎 | 右香落 | 63 | 大橋宗桂・藤田清三郎 | 平手 | |
14 | 大橋宗桂・高島彌三郎 | 角落 | 64 | 大橋宗英・大橋宗桂 | 角落 | |
15 | 毛塚源助・森田彌三郎 | 飛車落 | 65 | 杉浦傳八郎・大塚甚右衛門 | 左香落 | |
16 | 伊藤宗看・大橋宗桂 | 左香落 | 66 | 杉浦傳八郎・大塚甚右衛門 | 平手 | |
17 | 竹内長林・高島直五郎 | 右香落 | 67 | 杉浦傳八郎・大橋桂壽 | 左香落 | |
18 | 大橋宗英・伊藤宗看 | 平手 | 68 | 杉浦傳八郎・大橋桂壽 | 右香落 | |
19 | 澁谷市三郎・大島喜兵衛 | 右香落 | 69 | 福泉藤吉・楢崎新次郎 | 右香落 | |
20 | 澁谷市三郎・大島喜兵衛 | 左香落 | 70 | 川島金蔵・川村大吉 | 平手 | |
21 | 伊藤宗看・澁谷市三郎 | 左香落 | 71 | 藤田桂立・川村大吉 | 左香落 | |
22 | 水野桂傳・高島彌三郎 | 左香落 | 72 | 大橋宗桂・和田孫兵衛 | 右香落 | |
23 | 伊藤宗看・大橋宗桂 | 右香落 | 73 | 藤田桂立・川村大吉 | 右香落 | |
24 | 福島順喜・大橋宗桂 | 左香落 | 74 | 大橋宗桂・和田孫兵衛 | 平手 | |
25 | 高島直五郎・藤田清三郎 | 左香落 | 75 | 上野伊三郎・川島金蔵 | 平手 | |
26 | 大橋宗桂・川島金蔵 | 右香落 | 76 | 川島金蔵・上野伊三郎 | 平手 | |
27 | 大橋宗桂・高島彌三郎 | 右香落 | 77 | 川島金蔵・小川新右衛門 | 左香落 | |
28 | 竹内長林・藤田清三郎 | 左香落 | 78 | 藤田桂立・上野伊三郎 | 左香落 | |
29 | 藤田清三郎・和田孫兵衛 | 平手 | 79 | 川村大吉・川島金蔵 | 平手 | |
30 | 大橋宗桂・和田孫兵衛 | 右香落 | 80 | 丸谷傳次郎・齋藤與兵衛 | 左香落 | |
31 | 川島金蔵・吉野金蔵 | 平手 | 81 | 丸谷傳次郎・齋藤與兵衛 | 角落 | |
32 | 丸谷傳次郎・藤田清三郎 | 平手 | 82 | 藤田桂立・川島金蔵 | 右香落 | |
33 | 齋藤平八・藤田清三郎 | 平手 | 83 | 藤田桂立・川島金蔵 | 右香落 | |
34 | 藤田清三郎・馬目市之助 | 右香落 | 84 | 大橋宗英・伊藤宗看 | 左香落 | |
35 | 藤田清三郎・馬目市之助 | 右香落 | 85 | 福島順喜・大橋宗桂 | 平手 | |
36 | 藤田清三郎・馬目市之助 | 右香落 | 86 | 金親玉歩・馬目市之助 | 右香落 | |
37 | 杉浦傳八郎・大塚甚右衛門 | 右香落 | 87 | 金親玉歩・馬目市之助 | 左香落 | |
38 | 金親盤治・藤田清三郎 | 右香落 | 88 | 大塚甚右衛門・川上長次郎 | 平手 | |
39 | 福島順喜・大橋宗桂 | 平手 | 89 | 川島金次郎・大塚甚右衛門 | 左香落 | |
40 | 高島彌三郎・大橋桂壽 | 平手 | 90 | 川島金次郎・大塚甚右衛門 | 平手 | |
41 | 長谷川善太郎・長谷川四郎左衛門 | 平手 | 91 | 大塚甚右衛門・伊藤宗壽 | 平手 | |
42 | 長谷川善太郎・長谷川四郎左衛門 | 右香落 | 92 | 大橋宗桂・平島善助 | 角落 | |
43 | 藤田清三郎・和田孫兵衛 | 平手 | 93 | 和田孫兵衛・大塚甚右衛門 | 平手 | |
44 | 川島金蔵・高島彌三郎 | 平手 | 94 | 大橋桂壽・長谷川四郎左衛門 | 平手 | |
45 | 高島直五郎・大橋宗桂 | 平手 | 95 | 大橋宗桂・川村大吉 | 左香落 | |
46 | 大橋宗桂・福島順喜 | 平手 | 96 | 福島順喜・丸谷傳次郎 | 右香落 | |
47 | 大橋宗桂・伊藤印壽 | 右香落 | 97 | 福島宗喜・高島直五郎 | 左香落 | |
48 | 高島直五郎・川島金蔵 | 右香落 | 98 | 馬目市之助・川村大吉 | 平手 | |
49 | 荻田重次郎・伊藤宗壽 | 右香落 | 99 | 川村大吉・馬目市之助 | 平手 | |
50 | 丸谷傳次郎・大橋宗桂 | 平手 | 100 | 馬目市之助・和田直三郎 | 右香落 |
※本書のややこしいところは、大橋宗桂が2人いることです。即ち9代目大橋宗桂名人と十代目大橋宗桂七段(上手)です。寛政四年〜文化元年迄の棋譜に大橋宗桂とあるのは選者の十代目大橋宗桂であるが、実際は9代目大橋宗桂名人が没したのは寛政十一年であり、十代目宗桂を襲名したのは文化二年であるので、それまでは大橋宗銀が正しいらしいです。
また、昭和52年に復刻された東西文献版では八代大橋宗桂撰となっているが、明らかに間違いなので併せて訂正しておく