大橋柳雪は寛政七年（1795年）生まれで天保十年（1839年）に四十四歳で亡くなっており、実力十三段と言われましたが、七段のまま終った、当時の第一人者でした。石本検校は経歴不明ですが、六段の実力者でこれまた当時の第一人者に近い実力の持ち主でした。
　この二名の二十一番勝負の経緯はわかりませんが、天保八年五月二十七日〜天保十年二月二十二日にかけて行われました。当時注目を集めたに間違いありません。結果は大橋柳雪の19勝2敗で圧勝でしたが、内容は激戦も多く、特に左香落については、明治大正時代のプロ棋士はこの棋譜を研究したそうです。
　今の眼で見ても秘儀の応酬及び、決め手をつかませない粘り等見所が多いです。
　では、当時最高の将棋をお楽しみください。

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