宮本兼利

 龍追いの宮本氏として有名で、長年にわたり龍追いばかり作られた方である。短編もあるが、はっきりいって駄作ばかりである。70歳過ぎても(80歳?)複雑な変化を含む龍追いを作り続けたのである。今見ると、テーマは龍で追いまわすだけで、妙手も無く意味が無いと思われるであろう。しかしながら、この先ず作者が楽しむ遊び心。人からどう思われようとも自分は龍追いが好きだという確固としたポリシーを感じるのである。古き良き時代の作品というか昭和初期の臭いを感じさせてくれるのである。
 私自身は宮本氏の作品が嫌いではなかった。逆に何作か並べていると、次の作品が見たいくらいであった。これは水戸黄門と同じで、どうなると解っていても見たいという心理でもあった。
 作者のプロフィールについてはよく知りません。愛媛タイムスの詰将棋欄も担当していたそうで、地方詰棋界にも足跡を残された方だと思う。
 代表作として「秀局懐古録上巻六十一番の風車」を上げたかったが、余詰のため同じ「秀局懐古録八十三番」を紹介しておきます。

 上記の作品も本来は中篇でまとめる素材と思うが、無理やり龍追いとくっつけるのが宮本流である。
 次にもう一局宮本氏の作品を載せておきたい。「風車」の一人一局集のような企画に載せているので、作者が気に入っている作品と思う。これこそ宮本氏らしい作品ではあります。

三百人一局集補遺に戻る