剽窃か!改作か?

 先日、筑摩書房の「将棋図式集下」を見ていたところ、下記の「待宵後集38番」が載っていた。見ている中に、これはもっと引き伸ばして大きな市松模様に出来そうだなあ、と思ったところ何か引っかかった。そういえば、千葉勝美氏の代表作の市松作品もこんなで出しだったような、、、。
 早速確認したところ、一筋〜五筋の五×五は攻め方52と玉方54の銀が入れ替わっているだけであった。これは偶然とは思えない。当時は古作物を同じ図や、ちょっと変えただけで発表することもまかり通っていた。それは古図式が今ほど流通しておらず、自作として発表しても解らなかったからである。実際、山村兎月氏は多数これをやって、若き日の田辺重信氏に指摘されたという事件があった。
 偶然の可能性もありますが、これは恐らく知っていてやったものだと思う。ただ千葉氏の意識として後半は全くオリジナルであり、改作ではなく自らの創作だと思っていたようでもある。それは田辺重信氏編の「秀局回顧録上巻三十二番」として、この作品を千葉氏作として載せることを許可したことからも解る。
 さてこのような場合、創作なのか剽窃なのか改作なのか私には解りません。私としては改作だと思うのですが、、、。ただ待宵後集38番がある以上、千葉氏の図は迂回手順的余詰もあるので、価値としてもどうなのか?あるいは待宵後集38番の作者も迂回手順的余詰が消えなくて9×5の図は捨てた図の可能性もありますね、、、。
 もっとも単なる偶然だった場合は酷似なんでしょうけど、、、。
 いずれにしろ千葉勝美氏の代表作に少なくとも酷似先行作品があったのは、私にとってはショックな出来事でした。

待宵後集38番作者不知

 初出は「将棋月報1928年12月号」千葉勝美氏作

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